色・音・香 9 おいしさと色・音・香: |
村田 容常
[生活科学部 食物栄養学科]
古瀬 奈津子 [文教育学部 人文科学科]
安成 英樹 [文教育学部 人文科学科] |
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LA科目のねらい |
「おいしさの色・音・香」は文理融合型の講義です。「食物のおいしさ」を切り口に、複眼的視野を養うため自然科学的視点と人文科学的視点の両者を一度に学ぼうという取り組みです。
多くの学問分野では専門性が高まるにつれて一つの学問的手法に頼りがちです。しかし、例えば「食物のおいしさ」といったわかりやすいテーマ一つを見ても、生物学、化学、食品学、栄養学、歴史学、文学、社会学、心理学等々それぞれどの一つの見方で見ても全体像を把握することはできません。ここでは、高校や大学初期に学んだ様々な知識を有機的に結び付けることで「食物のおいしさ」について自然科学と人文科学の両面から理解しようとしています。 |
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授業の内容 |
食物栄養学科の村田容常が、「人はなぜ食べるのか」という生物学、栄養学視点から食物のおいしさを見るとともに、「おいしさの化学」を食品学的に説明しました。一方、食物は餌ではなく人間に固有な文化的なものであり、人間の歴史、生活と密接に関係していることはいうまでもありません。比較歴史学コースの古瀬奈津子先生と安成英樹先生が食文化的なおいしさを語っています。古瀬奈津子先生が「歴史から見た日本食の成立」という観点から、現在の日本食文化形成の以前の時代に焦点をあて、日本の中世の食生活を文学(今昔物語)や歴史的資料に基づき説明しました。また、安成英樹先生は、「ヨーロッパにおけるおいしさ」という観点からフランスの食生活を古代、中世、近世という歴史的視点からとらへ、食の文化がそれぞれの時代の社会的背景のもと他の文化の影響を受けながらいかに新たに形成さえてくるかを考えています。 |
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現状と期待 |
講義全体を通じて、毎回講義の感想を書いてもらっています。この感想はその後の講義に役立てるとともに、最終会の総合討論の資料とする予定です。
1年生を中心に150名を超える人が受講しています。文系理系両方の方がおられますが、皆さん熱心に聴講しています。学生さんの感想からも、文系の方が自然科学的な見方を、理系の方が人文科学的な見方や方法論を理解してくれているようです。この講義を通じて学生さんの大学で学ぶ意欲が高まり、また学生さんの複眼的視野が養われることを期待しています。 |
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報告:村田容常教授 写真:教育企画チーム 野口香織 |
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