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生活世界の安全保障 2 情報社会の安全保障 |
クラス
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全学科 |
履修年次 |
1 〜 4年 |
授業形態 |
講義 |
単位数 |
2.0 |
学期 |
後期 |
曜日 |
金曜 |
時限 |
7.0〜8.0 |
教室 |
共通講義棟1号館 301室 |
読替 |
社会情報学
(基礎講義科目) |
毎年開講 |
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生活世界の安全保障 2 情報社会の安全保障:中川 晋一[お茶の水女子大学] |
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私の本職は、総務省所管の独立行政法人情報通信研究機構でコンピュータネットワークやインターネットの研究をしています。また、北陸先端科学技術大学院大学の教員として、次世代のインターネット技術に関する研究内容を紹介する講義も行っています。医学部を卒業し、医師として勤務する中で、問題点を感じて1990年代初頭からインターネットを社会に応用してゆくための研究で医学部で博士号を取得し、約10年前に、より専門的な立場でのネットワークの研究を進めようと思い、勤務していた国立がんセンターから今の研究所に移って、とうとう医学とは直接関係のない研究を標榜するようになりました。
この授業はコンピュータネットワークセキュリティに関する情報通信のリテラシーに関する内容の講義でした。もちろんその内容に関しても講義で取り上げるのですが、情報通信についての話題は、講義開始直後に学生諸君に対して行ったニーズ調査の結果を参考に、後半に回してしまうことにしました。
その調査で、学生のニーズは情報内容そのものに興味があることが分かりました。そこで、むしろインターネットにとらわれずに情報流通全体を俯瞰して、どのようにすれば検索などで得た情報を「安全に使うことが可能か」ということに関する方法論、評価方法、情報を判断するための基本知識の例を具体例を用いて講義していくこととしました。
様々な実例を挙げ、確かな情報を広く持つことが重要でありある未知の事象が生じた時に、その情報の真偽を類推するための基礎的・基本的な知識を持つことが役にたつことを述べてきています。
現在のインターネットの技術では、Webの情報の真偽に関する客観的評価を与えること、個人のニーズや状況に応じた情報提供を行うことなどはできていません。機械や人為的な悪意をもった修飾を受けやすいブラックボックスの情報を役立てるためには、基礎的知識からの類推によって与えられた情報を判定してゆく必要があると思います。
例えば、「これらの疾患と診断された場合、完治することは難しいが進行を遅らせることは不可能ではない。また、如何に人間らしく尊厳ある時間を過ごすためにどのような制度やサービスがあるか等の情報を広く集め、生活の質を高めることも重要だ。」というような認識を、「基礎的な常識」として持つことが、結果的にとても積極的に「生きる」ことになる場合も少なくないのです。講義していきている医学的基礎知識が、このような尺度を形成してゆく一助になればと思っています。
その上で、Web検索やメイル・SNSなどでの広範囲な人間関係を作りつつ正しい判断をしてゆくことが正しい情報社会の安全保障ではないかと思っています。 |
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報告:中川晋一講師 写真:教育企画チーム 野口香織 |
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